関谷醸造
(せきやじょうぞう)
「蓬莱泉」でお馴染みの、愛知県北東部の北設楽郡設楽町の日本酒蔵。自治体面積の約9割を山林が占めるこの町で、およそ160年余り酒造りを続けています。米作りをするようになったのは、地元の農家が高齢化や後継問題によって急速に減っていったこと。また、ひょんなことで見学に来たドイツの醸造家から「なぜ米を作らないんだ?」と言われたことが、ずっと胸に残っていたこと。この二つのきっかけが理由だったといいます。
その後、米や農地に関する法律や規制が緩和された際には、すぐに名乗りを挙げ、生産と醸造をワンストップで行う酒蔵へと変貌を遂げてゆきました。山間地を縫うようにして小分けに広がる田んぼは、およそ275枚。効率がいいとは言えないその場所だけれども、シカやイノシシなどの野生動物とも共にあるその土地の暮らしに順応しながら、企業としてサステナブルであることも大切に、健全な組織体制と「よい酒造り」の二つを両立させる知恵を育んでいます。